2023年4月21(金)に開催されましたUTMF(FUJI)、走ってきました。自分なりに準備をしてレースに臨みましたが、結果はDNF。第2エイド「F2:麓(51km)」にて終了という何とも情けない結果となりました。
トレイルランニングをはじめて数年。存在を知ってからいつかは走ってみたいと思っていた憧れのレース。それだけにかなり凹みましたが、次に進むためにもダメだった理由をハッキリさせておこうと思い記事にします。
失敗から得るものは大きいハズ。これからUTMF(FUJI)にチャレンジする人の参考になれば、僕も成仏できます。
UTMF(FUJI)とは?
UTMF(FUJI)は、山梨県と静岡県をまたいで開催されるトレイルランニングのレース。3,000人を超えるトレイルランナーが走る国内最大規模のレースです。
2023年大会では「FUJI(100マイル)」「KAI(69km)」の2つのカテゴリーで開催。いずれも富士山を走るのではなく、周辺エリアを走るコースレイアウトになっています。
詳しくは、UTMFについて書いた記事がありますのでそちらもどうぞ。
エントリー条件
UTMF(FUJI)を走るためには、0次関門を突破しなければなりません。その、最初のハードルになるのがエントリー条件の厳しさ。ITRAポイントが10ポイント以上必要になるということです。
ITRAポイントとは、ITRA(国際トレイルランニング協会)が認定するレースに付与されるポイントのこと。コースの累積標高差や距離、エイドの数などを踏まえた難易度によって決まります。
さらに、
- 一般エントリー開始日の2年前から前日までにITRA認定のレースに出場・完走しポイントを獲得すること
- 最大3レースで10ポイント以上獲得すること
- 最低1レースはエントリー開始の1年前から前日までに開催されるレースとすること
と条件は続きます。
これだけでも厳しいのですが、人気レースのため抽選になることがほとんど。そして、エントリーフィー:40,000円 + 決済手数料:2,200円と高額なのもハードルを上げている要因になっています。
そんな中、僕がエントリーできたのは「Virtual UTMF 2021」のおかげ。2021年に開催予定だったUTMFがコロナ禍で中止となり、救済措置として企画されたオンラインイベントが「Virtual UTMF 2021」。
1週間でトータル160km走ると、UTMF(FUJI)のエントリー時に使える6ポイントがもらえるというもの。ここでポイントをゲットしていたので、エントリー条件を満たすことができました。
僕がUTMF(FUJI)完走に向けてやった3つのこと
50歳までにはチャレンジしたい。あわよくば完走したい! そんな想いと「Virtual UTMF 2021」で獲得した6ポイントの有効期限が2024年大会までだったのでチャレンジを決意。1年前から少しずつ準備をしました。
1. ロングレースの経験を積む
2021年までに走ったことがあるトレランレースは、六甲縦走キャノンボールランのSPEED(45km)が最長。あとは20〜30kmのレースを何本か走っただけでした。
そこで、50km以上のレースにも挑戦しようとレース計画を練ることに。2023年はUTMF(FUJI)の前に100kmのレースを2本走り、経験と自信をつけてレースに臨むつもりでいました。
【2022.05.21】比叡山国際トレイルラン2022(50km)
比叡山国際トレイルランは、滋賀県大津市西部と京都府京都市北東部にまたがる比叡山が舞台。比叡山延暦寺の総本堂である根本中堂(こんぽんちゅうどう)を発着点にコース設計されています。
コースをプロデュースしたのは、UTMFでもお馴染み鏑木 毅(かぶらき つよし)さん。世界中で活躍するトレイルランナーで、日本にトレイルランを広めたレジェンドの1人です。
鏑木さんいわく「上り下りのメリハリがハッキリした、世界最高峰のUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)を凝縮したような厳しいコース。その分、コンプリートすれば満足感や充実感が得られます」とのこと。
【2022.09.03】第6回 京都一周トレイル グランドトラバース(59km)
京都一周トレイルグランドトラバースは、京都の嵐山公園をスタートして山科にある毘沙門堂を目指す59kmのレース。途中、高雄〜鞍馬〜静原〜仰木峠〜ケーブル比叡〜銀閣寺横〜大文字を経由します。
もともとは「東山コース」と「北山コース」で分かれていた大会ですが1つにして欲しいという声からスタートしました。第1回大会は「京都一周トレイルグランドトラバース65」という名称。
累積標高は、2400mD+。ITRAポイントは「3」です。
【2022.10.15】第7回 峨山道(がざんどう)トレイルラン(73km)
峨山道トレイルランですが、2022年大会は石川県輪島市の「總持寺祖院(そうじじそいん)」をスタートして石川県羽咋(はくい)市の「永光寺(ようこうじ)」を目指す73kmのコース。
峨山道とは、かつて「總持寺祖院」「永光寺」の2つのお寺で住職をしていた峨山禅師(がざんぜんじ)が行き来していた古道のこと。豊かな自然と農村の原風景である「世界農業遺産」の里山が印象的。
獲得標高は2,500mD+前後と少なめ。つまり走れるコースということ。ITRAポイントは「3」です。
【2022.12.11】IZU TRAIL Journey 2022(70km)
IZU TRAIL Journey(通称:ITJ)は、2013年から続く人気のトレランレース。静岡県、伊豆半島南部の松崎新港をスタートして修善寺を目指す70kmのコース。
ITJのコンセプトは「旅」。そのため沿道からの「頑張れ!」という声援の中に「良い旅を!」という声も聞こえてきます。街ぐるみでおもてなしをされているような雰囲気が印象的。
総合プロデューサーはUTMFにも深く関わりがある千葉 達雄さん。コースのプロデュースは、UTMF、比叡山国際トレイルでもお馴染み鏑木 毅さん。
獲得標高は3,242mD+。ITRAポイントは「3」です。
【2023.03.04】美濃国山城トレイル(100km)
2023年にプレ大会として開催された美濃国山城トレイル100。岐阜県揖斐川町をスタート。岐阜城がある金華山を経由して加茂郡坂祝(かもぐんさかほぎ)にある坂祝駅を目指す100kmのレース。
レース開催に向けて、有志が時間をかけてトレイルを整備した山城愛に溢れたコース。200〜400m級の低山がいくつも連なり、獲得標高は7,300mD+弱となかなかハード。ITRAポイントはありません。
【2023.03.18】六甲縦走キャノンボールラン(POWER)
六甲縦走キャノンボールランは、毎年春と秋に開催されるレース。兵庫県の須磨〜宝塚間を六甲全山縦走路に沿ってトレースします。
運営は、神戸市灘区にある整体・ストレッチの「けんこう堂」さんとボランティアのみなさん。小規模ですが、全国から参加者が集まる人気のレースです。
特徴は、六甲全山縦走路をエンジン以外の移動手段で1番早くゴールした人が勝者ということ。ルールには、馬やミニチュアポニー、ウィングスーツもOKとあります。
カテゴリーも豊富。ワンウェイでゴールを目指す「SPEED」。縦走路を往復する「POWER」。1.5往復する「RAINBOW」とさまざま。
これまで「SPEED」は何度か走ったことがあるので「POWER」にチャレンジ。距離は約85km。獲得標高は5,000mD+くらいになるのかなと。
2. 練習の負荷を上げる
ワラーチで走る。1日も休まず走る。少なくとも10km以上は走る。普段の練習はそれだけを意識していました。ただ、平坦なロードを淡々と走っているだけだったのでそれではダメだと。
そこで意識したのが月間獲得標高。休みの日はできるかぎり山を走り、普段の練習では坂を意識的に走るようにしました。2023年に入ってからは月間:10,000mD+を意識しました
山は、近場や慣れたところであれば1人で行くこともありましたが仲間と走る機会を増やしました。特に、強い仲間と一緒に走ることでかなり追い込んでもらいました。
東海エリアでは有名な猿投山から犬山(通称:猿犬)を目指すコースを走ったり、各務原アルプス縦走(通称:KA50)にチャレンジしたりもしました。
普段の練習では坂があるコースを狙って走るようにしました。時には坂だけをぐるぐる往復するなんてことも。10km弱で400mD+稼げる坂を見つけて、何度も何度も走りました。
3. 必携品・装備品を揃える
足りない必携品や装備品を少しずつ揃えていきました。合わせて、パフォーマンスアップに貢献してくれそうなグッズやレースで履くためのシューズも用意しました。
以下が、必携品リスト。太字になっているものを新しく購入しました。
- 詳細コースマップ
- エントリーの際に番号を届け出た携帯電話
- 携帯コップ(150cc以上)
- 水(1ℓ以上)
- 食料
- ライト2個、それぞれの予備電池もしくは予備バッテリー
- 点滅ライト
- サバイバルブランケット(130cm以上×200cm以上)またはエマージェンシーヴィヴィ
- ホイッスル
- テーピング用テープ(80cm以上×3cm以上)
- 携帯トイレ
- フードつきレインジャケットとレインパンツ
- フリースなどの長袖シャツ
- 足首までを覆うズボンあるいはタイツ
- 手袋、耳までを隠す帽子
- マスク2枚
- ファーストエイドキット(絆創膏、消毒薬など)
- 保険証(コピーは不可)
- ナンバーカード、ICタグ
- ザックまたはバック
6.【UltrAspire/ウルトラスパイア】ルーメン600 3.0 ウエストライト
UTMF(FUJI)は夜間走行するため、ライトが必携品。途中で故障してもリカバリーできるよう予備も含めて2つ必要です。
中にはヘッデン(ヘッドライト)を2個パッキングする人もいますが、僕はヘッデン+ウェストに装着するタイプのライトを購入しました。
ウェストライトのメリットは、サーフェス(地面)を立体的に照らすことができる点。ヘッデンのように上から光をあてるのではなく低い位置から光をあてるので、影ができやすいのがその理由です。
6.【NLAセレクト】18650 リチウムイオン 充電池 3400mAh
ライト用の予備バッテリーも必携品になっているため、こちらを購入。ヘッデンとウエストライト両方に使えるものを選びました。
中にはAmazonで安く購入できるものもありましたが、発火する恐れもあるためパナソニック製のものにしました。
7.【NATHAN/ネイサン】ビジビリティ LEDライト
電池式の点滅ライトが必携品になっているため、こちらを購入。念の為、予備電池もパッキングしました。強めのクリップでザックに固定できるタイプで、走っても落ちたりはしませんでした。
10.【GONTEX/ゴンテックス】伸縮性ロールテープ
緊急時に使うテーピングも必携品になっています。ケガはもちろんですがシューズが壊れた時の一時的な補修などにも使えるようです。普段トレランで山に行く時にもあると安心できます。
サイズに規定があって長さが80cm以上、幅が3cm以上となっています。規定サイズにカットしたものも売っていますが、ロールで購入してカットしたものをパッキングしました。
12.【THE NORTH FACE/ノースフェイス】ストライクトレイルフーディ
フード付きレインジャケットで縫い目に防水処理(シームテープ)が施してあるものが必携品になっているため、こちらを購入。
コスパがいいのはもちろん、丸めて専用の袋に収納すると肉巻きおにぎりくらいのサイズ感になるのが魅力。パッキングの邪魔にならないので、かなりオススメです。
12.【THE NORTH FACE/ノースフェイス】ストライクトレイルパンツ
レインジャケット同様、シームテープが施してあるレインパンツも必携品。ストライクトレイルフーディと合わせて購入しました。
コスパの良さと丸めたら肉巻きおにぎりくらいになるサイズ感は、ストライクトレイルフーディ同様メリット。デメリットは、靴を履いたまま脱いだり履いたりしにくい点。
13.【THE NORTH FACE/ノースフェイス】マウンテンバーサマイクロジャケット
防寒対策としてフリースなどの長袖シャツも必携品になっているため、こちらを購入。マイクロフリースを採用したジャケットで保温性はバッチリ。コスパの良さも◎
ただ、かさばるのは残念なところ。パッキングのことを考えるとメリノウールなどを使用したシャツの方が良いかもです。価格はお高めになりますがね。
14.【THE NORTH FACE/ノースフェイス】バーブライトランニングパンツ
足首までを覆うズボンあるいはタイツも必携品になっているので、こちらを購入。
普段は短パンで走るので長ズボンとは無縁ですが、数年前のUTMFでは雪が降ったこともあるのでいざという時に役に立つのかなと。ただ、今回のレースでは結局使わなかったです。
15.【Black Diamond/ブラックダイヤモンド】モンブラン
指がしっかりと覆われている手袋が必携品になっているため、購入。メリノウール製の薄い手袋を装着した上からでも使えるようワンサイズ大きめをチョイスしました。
定評のあるブラックダイヤモンド製ということと、手のひら部分のグリップ力が魅力。手袋を着けたままスマホを操作できるようですが、反応はイマイチとの評判。
15.【R×L/アールエル】メリノウールネックウォーマー
耳が隠れる帽子も必携品になっているため、耳を覆えるネックウォーマーを購入。薄くて暖かいメリノウールで作られているので、口もとが覆われても呼吸がしやすいです。
メリノウールは温度調整や湿度調整に優れており、柔らかいのに型崩れしづらいといった特徴があります。適度な暖かさ、柔らかな風合い、汗を吸っても素早く拡散してくれる。そんな点が選ばれる理由です。
20.【ANSWER4/アンサー4】フォーカスR
逆三角錐の独特な形状で人気のバックパック「フォーカスシリーズ」。はじめての100マイルレースで荷物も多くなると予想し、約20L収納できる「フォーカスR」を購入しました。
UTMF(FUJI)を走ったランナーの中でフォーカスシリーズを使っている人は多かったです。ただ、ほとんどが「フォーカスライト」を着用。容量は7L程度と少なめ。パッキングのコツが知りたいです。
【TS DESIGN/ティーエスデザイン】TS DRY ショートスリーブ
必携品にはなっていませんが、汗冷え対策に購入したのがこちら。同様の商品にミレーのドライナミックメッシュがありますが、価格は半額以下とコスパは◎
メッシュ構造の素材を使っており、汗や雨で濡れても肌に貼りつかないのが魅力。生地もそこそこ厚みがあるので、寒さ対策にも役立ちました。
【Compressport/コンプレスポーツ】カーフスリーブ
ふくらはぎの筋肉に伝わる振動を抑え、パフォーマンスの向上に貢献してくれるのがカーフスリーブです。100マイルレースということもあり、使えそうなものは取り入れようと思い購入しました。
適度な締め付け感が筋肉にかかる振動を吸収して筋肉の損傷を抑え、筋肉痛を軽減し乳酸の蓄積を抑えて筋肉疲労を遅らせてくれるとのこと。普段ロングソックスを履かないので、慣れるまでに時間がかかりました。
【New-HALE/ニューハレ】X-TAPE
捻挫を軽減してくれると評判のニューハレ「X-TAPE」も足首に貼ってレースに臨みました。
両足首に2枚ずつ貼って、がっちり捻挫対策をしました。ただ、使い慣れていないこともあって足首の可動に違和感を覚えて走りにくい印象を受けました。カーフスリーブ同様、練習で慣れておく必要はありますね。
【ALTRA/アルトラ】ローンピーク7
アルトラは「ローンピーク4.5」「モンブラン」を愛用してきました。いずれも使い込んでラグが擦り減っていたので、UTMF(FUJI)の直前に発売された「ローンピーク7」を購入。
指先部分が広くなっている形状、ヒール部分とつま先部分の地面からの距離が同じであるという点(ゼロドロップ)は従来通り。ソールのラグパターンの刷新、アッパーの形状の変化など改良点もありました。
デザインも雰囲気がガラッと変わってしまい、個人的には4.5のほうが好みかなと。それでも履き心地に関してはノンストレスという点で、しっくりくる一足です。
【HOSHINO/ホシノ】B+インソール
着地する際の足へのダメージを少なくしたいと思い、評価が高かったホシノのインソールを購入。指先部分をシューズに合わせてカットして使うタイプなので、どんなシューズにも合わせられます。
沈みこむような柔らかさがあるのではなく、適度な硬さがあって快適に使えます。ロードやガレ場などの硬いサーフェスを走る際に効果を実感できるのかなと。
それでもDNFした8つの理由
約1年前からレース計画を立てて準備をしてきました。エントリーしたレースで確実にゴールできるよう、練習の負荷も上げていきました。必携品の準備、パフォーマンス向上に活かせそうなアイテムも揃えました。
それでもDNFしたのにはちゃんと理由があったのです。
1. レース2カ月前のケガ
2月の後半にケガをしました。3月に走る予定でいた「美濃国山城トレイル100」の試走を兼ねて、仲間と2人で岐阜の山を走っていた時のこと。上りを走っていたら突然「バチンッ」と音が…
左足ふくらはぎの肉ばなれ。その場から動けなくなりました。ランニング人生ではじめての大きなケガ。いつかこんな日がくるかもと予想はしていましたが、UTMF(FUJI)の前とは想像もしていませんでした。
痛み止めを飲んでもテーピングをしても症状は変わらず。試走はやめにして、病院に行くことを考え下山しました。仲間がいてくれたおかげで無事に下山ができ、車もピックアップしてもらい助かりました。
その日のうちに病院に行き、しばらくは完全休足が決定的となりました。「美濃国山城トレイル100」「六甲縦走キャノンボールラン」はDNS。普段の練習もできなくなり、再開までに1カ月以上かかりました。
このことがきっかけで歯車が狂ってしまい、結果的にUTMF(FUJI)でDNFすることになったのかなと。
2. ロングレースの経験不足
練習やレースで80kmまでは経験したものの、100km以上の距離は未経験で未知すぎて不安しかなかったです。おかげでレース前半の組み立てがうまくできず、DNFにつながったのかなと。
経験がないなら経験者に学べ。そんなつもりで、トップトレイルランナーの長田 豪史さんが主催するUTMF対策セミナーを受講しました。セクションごとに注意するポイントなど細かく教えてもらい参考になりました。
ただ、レース本番の空気感に流されてしまい自分のペースで走ることができず失速。学びをうまく活かすことができず残念な結果となりました。
3. トレイルの走り込み不足
山へのアクセスが比較的いい場所に住んでいるのですが、トレイルを走るのは月に数回程度。1人でも遠くの山に行けるよう、車を購入するくらいの気持ちはあったのですがねぇ。
手ぶらで近所を走るくらいの気持ちで行ければいいのですが、トレランはそうもいかず。荷物のパッキング。帰宅してからの大量の洗濯。これらを手間に感じているのが気軽に行けない理由になっているのかもです。
ただ、トレイルの走り込み不足はそのまま結果につながるのかなと。100マイルを目指すのであれば、トレイルの走り込みはしっかりやっておかなければなと実感しました。
4. 暑熱順化ができていなかった
UTMF(FUJI)が開催された2023年4月21(金)の天気は雨予報でした。しかし、当日になると天気は晴れ。スタート時刻は14時30分ごろ。日差しがキツくて暑いくらいでした。
それもあってか、いつもの調子ではないなぁと走りながらずっと感じていました。練習不足はもちろんありましたが、暑さの影響は大きかったのかなと。寒さ対策にだけ意識がいっていたので盲点でした。
5. 補給食のチョイスを失敗
どちらかと言うとエナジージェルが苦手で、それは以前から分かっていました。ただ、家に在庫があったのでそれをパッキング。何度か使用しましたが、だんだん気持ち悪くなってしまいダメでした。
パワーバー系の補給食も持っていきましたが、食べると水分を奪われてしまいダメでした。水切れ寸前のタイミングだったのでガブガブと流し込むこともできず、ただただ苦行でした。
エナジージェル以外にもミックスナッツにクレイジーソルトを合わせたものをパッキングしましたが、走りながら食べるには不向きでダメでした。
6. 体重/体脂肪率の増加
ケガをしてから復帰するまでの約2カ月間で、体重と体脂肪率が大幅に増加。ベストから比較すると体重は7kgぐらい、体脂肪率は7%くらい増えました。
走れなくなり生活リズムが狂ったのとストレスで食に走ったことが原因。身体が重たくなればそれだけ走れなくなるのも当然のこと。筋トレや食事管理を徹底することにシフトできればよかったのですがダメでした。
7. 100マイルを走るメンタルがなかった
100マイルは長丁場になるため、調子のいい悪いが繰り返し訪れるようです。それに伴い、メンタルも浮き沈みする。経験値があれば、今はキツいけどそのうち復活するからとやり過ごすこともできたのかなと。
スタート直後から調子がいいとは言えず、途中で立ち止まることもしばしば。こんな調子で100マイル走れるのかと、ずっと考えていました。
スタートして緩やかな下りを30kmほど進んだところで最初のボス「天子山地」に到達。日没直後でした。薄暗い中でのトレイルイン。ここで心を折られることになるとは思ってもいませんでした。
かなりの急勾配でつづらおりを繰り返しながら天子ヶ岳の山頂を目指す。渋滞がすごくて自分のペースでは進めない。後ろからのプレッシャーがあるため、立ち止まりたくてもできない状況。
動きっぱなしだから水の消費が激しく水不足になる。ジェルが合わず気持ち悪くなる。標高が上がるにつれて風が吹き、寒くなる。斜面のあちこちで人が座り込んでいる。中には横になっている人、吐いている人も。
そんな状況下で気持ちは後ろ向きになり、次のエイドでもうやめようと決意する。熊森山を下りてロードに出てからは全歩き。時間をかけて第2エイド「F2:麓」に到達。DNFを申告してバスで回収されました。
やめると決めてからは気持ちが1ミリも前に動くことはなく、復活できませんでした。ここでやり過ごすことができたらもう少し進めたかもしれませんが、メンタルの弱さを実感しました。
8. 装備品のULパッキングができなかった
僕の場合、なんやかんやで総重量は5kg以上になりました。必携品はもちろんですが、補給食、GoPro、バッテリーなどなど。20Lのザックがパンッパンになりました。
防寒着がけっこうかさばったので、見直しが必要かなと。バッテリーも小さくて軽いものにすればかなり軽量化できるのではと思っています。補給食も詰め込みすぎでした。
体重増加でただでさえ重いのに、大量の荷物が重りになれば走れないのも当然と言えるでしょう。
DNFして思ったこと
情けないやら悔しいやらで、しばらくはトレランから離れようと思いました。
第2エイド「F2:麓」で回収バスに乗り、デポバッグがある富士急ハイランドに着いたのが午前2時すぎ。荷物を受け取り急いで駐車場に向かい、逃げるようにしてその場を離れました。
その間、ボランティアスタッフをしていた仲間から「大丈夫?」と何度も連絡が。心配して会おうかとも言ってくれましたが、1人になりたかったのでそれを断りました。めちゃくちゃ失礼なことをしたと反省しています。
できる限り愛知県に近いところまで行こう。深夜の街をひたすら進み、2時間ほど車を走らせて漫画喫茶へ。軽く仮眠をとってから風呂にいき、サッパリしたところで帰路につきました。
富士急ハイランドを離れてから、これからのことをずっと考えていました。今、トレランから離れたら戻ってこられるのだろうか。翌月の比叡山国際トレイルはどうするのか。そんな考えがグルグル巡りました。
ただ、家に着く頃にはそんな自分が腹立たしくなりました。やられっぱなしの人生でいいのか。負けたなら、次で勝てばいいじゃん。そのためにも休んでる暇なんてないだろう。と、自分を鼓舞していました。
その結果、来年のUTMF(FUJI)に出るためのポイントが獲得できそうなレースを物色。エントリー資格があってまだ申し込みができるレースを見つけてポチりました。
2023年9月23〜24日に開催される「上州武尊山スカイビュートレイル(128km)」で6ポイント獲得を目指します。ただ、よくよく見るとUTMF(FUJI)以上の難コース(汗) やっちまったなぁ〜
これからUTMF(FUJI)にチャレンジする人に向けて
トレイルランナーだったら1度は走ってみたいと憧れるUTMF(FUJI)。スタート地点に立つだけで感動してウルッとくるくらいの大舞台でした。僕は今回ダメでしたが、来年以降も諦めずにチャレンジするつもりです。
これからUTMF(FUJI)を目指すトレイルランナーのみなさんには、僕の失敗を踏まえて準備してもらえたらいいのかなと。エントリーまでに時間があるうちに、やれること全部やっておきましょう。
しっかり走りこむ。山の経験値をあげる。ケガ対策は万全に。身体を絞る。パッキングは軽くする。こんなところを意識するだけでもゴールに近づけるのかなと。最後は気持ちで負けないことですかね。
100マイルを完走したトレイルランナーをマイラーと呼びます。僕も来年こそマイラーになれるよう練習していきます。UTMF(FUJI)のゴールを目指すみなさん、一緒に頑張りましょう!