2022年5月21日(土)に開催されました「比叡山トレイルラン2022」50kmの部、走ってきました。
待ちに待ったレース。本来なら、2021年の5月に開催されるハズでした。それが、感染症拡大の影響と悪天候のため2度延期されまして。ようやくの開催となりました。
比叡山トレイルランは過酷なレースということで有名。過去に開催された5回のレースでは、完走率が40%だった年も。難易度の高さと、5月とはいえ30℃を超えることもあるのが理由です。
僕が比叡山トレイルランに興味を持ったのは、トレランをはじめたばかりの頃。あまりの過酷さにいろいろ漏らしそうになったのと同時に、いつか走ってみたいと強い憧れを持ちました。
そんな、比叡山トレイルラン2022のレポート。ゴールまでの軌跡と当日の臨場感が伝われば嬉しいです。
比叡山トレイルランの特徴
2015年に第1回大会が開催された、比叡山トレイルラン。2020年は中止。2021年は延期となり、今年で6回目の開催となります。
比叡山トレイルランは、滋賀県大津市西部と京都府京都市北東部にまたがる比叡山が舞台。比叡山延暦寺の総本堂である根本中堂(こんぽんちゅうどう)を発着点にコース設計されています。
コースをプロデュースしたのは、鏑木 毅(かぶらき つよし)さん。世界中で活躍するトレイルランナーで、日本にトレイルランを広めたレジェンドの1人です。
鏑木さんいわく「上り下りのメリハリがハッキリした、世界最高峰のUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)を凝縮したような厳しいコース。その分、コンプリートすれば満足感や充実感が得られます」とのこと。
カテゴリーは3つに分かれていて、
- 23km/累積標高:1,400m/制限時間:10時間00分
- 50km/累積標高:3,700m/制限時間:11時間00分
- 50mile/累積標高:5,500m/制限時間:11時間30分
と、なっています。
50mileは80kmのこと。50kmと比較して距離が30km長いのに制限時間が30分しか違わないという異常さ。このカテゴリーは屈強な猛者でないと完走するのは難しいとされています。
また、5月の滋賀・京都エリアは気温が高くなることもあって、レースは暑さとの戦いにもなります。気温次第で完走率も大きく変動し、40%だった年もあるようです。
難易度が高いコースにプラスして気温との戦いになるレース。それが、比叡山トレイルランです。
「比叡山トレイルラン2022」レポート
装備品について
難易度が高いレースと聞いていたのでフル装備。何時にゴールできるか予想できなかったので、ヘッドライトもしっかりパッキングしました。
- 水(ソフトフラスク:500ml×2本)
- ゼリー飲料(即攻元気×2個)
- エナジージェル(マグオン×4個)
- 携帯コップ
- 小銭
- DJI Pocket 2
- スマホ
- モバイルバッテリー
- ポケットティッシュ
- 絆創膏
- テーピング
- ポイズンリムーバー
- ヘッドライト:Ledlenser/H8R
- ホイッスル
- 携帯トイレ
- エマージェンシーシート
- タオル
- レインウェア:RAIDLIGHT
- ザック:THE NORTH FACE/TR10
ウェアーについて
50kmのトレランは練習でも経験がなく、はじめてのこと。レース後半に脚を残すことを考え、コンプレッションハイソックスを履いてレースに挑みました。
- キャップ:milestone
- バフ:BUFF
- トップス:ノースリーブシャツ/STAMP RUN&CO(スタンプ ランアンドコー)
- グローブ:THE NORTH FACE
- GPSウォッチ:SUUNTO 9 BARO
- ランニングポーチ:FlipBelt
- パンツ:ELDORESO
- ソックス:コンプレッションハイソックス
- シューズ:ALTRA/LONE PEAK 4.5
コースについて
50kmのコースは、2つのパートで構成されています。前半は、南側をぐるっと反時計回りに走る20kmのコース。後半は、北側をぐるっと時計回りに走る30kmのコース。いずれも、根本中堂を発着点にしています。
写真で振り返る
京都に前泊して、会場へと向かいます。京都駅からシャトルバスが運行されるので、ホテルから駅まで2kmほど走りました。天気は、雨がパラパラ降っているような状況。
比叡山に到着。道中、隣に座った方(経験者)からいかに比叡山が過酷か聞かされる。このあと、ゼッケンをトイレ脇のベンチに置き忘れるハプニングがありました(汗) 見つかって、ホント良かった。
関西で活躍するYouTuber「ランうさトレラン部」のみなさんを発見! うわぁ、めっちゃ声かけたい! と思いつつ、シャイな性格が邪魔して何もできず。さて、どこにいるでしょう?
YouTuber「くれいじーかろ」さんも発見! まだ戦闘モードには入っていない様子。
コースをプロデュースした鏑木毅さん。ゲートの下でマイクを握っているのが、そう。日本にトレランを広めたレジェンドの1人。こんな近くで見られるなんて! こっそり興奮しとりました。
50mile、50kmの部第1ウェーブがスタートしたのち、50kmの部第2ウェーブもスタート! 時刻は、9時20分。長い旅がはじまります。
延暦寺の脇からすぐにトレイルへ。いきなりの急登。そして大渋滞。
この辺りは、京都一周トレイルの東山コースになります。昨年、試走したときにもハデな倒木を見たなぁ〜と懐かしくなりました。
昨年、京都一周トレイルを試走したときに遭難しかけた場所。コースは同じなのに案内板が変わっとるがね! ちなみに昨年のは↓
比叡山を目指して道なりに進んだら、トレイルから外れて道なき道をさまよいました。そっちには行けないようロープが張ってありましたので、もう迷うこともないでしょう。
冒険心をくすぐられるようなコース。
トレイルを抜けると、ガンバフンバ隊が! 第1エイドの「ロテルド比叡」に到着。
第1エイドを通過して、しばらくするとこんな走れるトレイルが。
弁天堂近くの参道。昔ながらの建物がいい感じ。
比叡山高校の手前で悶々とするエイドを発見。煩悩に挑んでやろうじゃあないかっ! ボディコンをまとった「私、失敗しないので」風のお姉様方から水をぶっかけられる。煩悩に負けました。
比叡山高校のグランドを横目に、ふたたびトレイルへ入るところ。
もたて山を目指してひたすら登る。
どうしたっ! ってくらいにメチャクチャになってるトレイル。ワイルドっぷりがいい感じ。
フラッフラになりながら「坂本ケーブル延暦寺駅」に到達。
奥に見えるのが琵琶湖。晴れてたらいい眺めなんだろうなぁ〜
しばらくロードを走り、スタート地点の根本中堂に戻ってきました。これで20km。むしろ、こっからが本番! 気持ちを切り替えて、後半戦に突入します。
根本中堂を出発して釈迦堂へと続く階段。趣ありますわぁ〜
ここの下りは走れるトレイル。のハズが、もうヘロヘロで攻めきれない。
走れそうな上りなんだけど、走れない。それは、他のランナーも同じこと。目の前を行く人はほぼ歩いていました。
横高山の山頂付近に到達。キツい山だと聞いてはいたけど、ほぼほぼ歩いたなぁ〜(汗)
さらに進むとこんな感じ。上を向くことすら困難な状態に…
水井山の下り。そしてここはかなりの急斜面! 勢いに任せて走ればどうなるかは明白。踏ん張り気味で慎重に下りました。
仰木峠に到達。スタッフさんの笑顔に癒されます。
小野山を目指して稜線を進む。
写真では分かりにくいですが、ポツポツと雨が降ってきました。
うっすら見えるのは、琵琶湖大橋かな? その手前にあるのは仰木の棚田? いずれにしても残念。
後ろからものすごい勢いで近づいてきた、くれいじーかろさん。余裕でぶち抜かれました。かろさんは僕とは違うカテゴリー(50mile)の選手。この時点で、60km以上走ってることにっ(汗)
かろさんに触発されて、僕も走る。ここで何人か抜き去りました。
棚田を横目に舗装路を走る。この先に折り返しがあるので、こちらに向かってくるランナーとすれ違う。1人ひとりに声をかけて、僕も元気をもらいました。
舗装路からトレイルへ。40kmを過ぎた。ようやくゴールを意識できるようになったところ。
ゴールが見えてきたとは言え、階段があれば上らなければいけない。
比叡山ドライブウェイの下を潜るゲート(トンネル)。その先に、デモゴルゴンはいない。
どこかの境内に入った模様。あれ、もうすぐゴールだっけ!? 安心してください。まだですから。
横川エイドステーションを超えて、最後の上りへ。下ってゴールするトレランレースが多い中、最後に上るってところに鏑木さんの愛を感じる(笑)
歩くのもキツい傾斜。最後の力を振り絞って、パワーウォーク。
鏑木さぁん。もう、腹いっぱいですわぁ〜
舗装路を登った先にはゴール。しかし、この坂よ! これはキツい… そんな声が漏れる。
坂の左手に「延暦寺会館」が! ゴールまで100メートルくらいか!? 拍手が背中を押してくれる。ここから走ってゴールゲートを目指す。
やっとの思いで、ゴールっ! なぁがかった! くっそ、疲れたっ! でも、サイッコウに気分がいい! 達成感のすごさよ!
ゴールした後、ランうさトレラン部の2人を発見! 勇気を出して声をかけてみました。そしたらカメラを回してくれて、動画にも出してもらえました(泣) いやぁ〜、夢がひとつ叶いました!
動画で振り返る
音がでます。注意して再生してください。
感想
2021年に走るつもりでいたので、1年以上この日を楽しみにしてきました。と同時に準備もしてきました。
練習でトレイルを走るのはもちろん、これまで走ったことがないレースにも積極的にチャレンジ。その甲斐もあってか、制限時間の11時間を大きく上回る8時間48分56秒でゴール。明るいうちに帰ってこられました。
YouTubeでしか見たことがない、はじめて走るコースでこのタイムならまずまずかなと。レース計画を練ることもなく、ロストしないことだけ考えていたので伸びしろはまだありそう。
ただ、今年は天候に恵まれて完走できたってのはあるのかなと。これが晴れていたらと思うとリタイアしててもおかしくない場面はいくつかありました。
次にチャレンジするときは、どピーカンのコンディションで7.5時間切りを目指したいです。そして50歳になるまでに50mileにもチャレンジして、マイラーの称号を得たいです!
まとめ
このレースを完走したら、トレイルランナーとして自信をもってもいい。そんな言葉を鏑木さんがおっしゃていたように記憶しています。
メリハリのあるコース。キツいパートは正直、キツいです。でも、走れるパートもけっこうあってバラエティーに富んだレースだったなぁと個人的に思います。
50kmの関門は、それなりに練習して臨まないと厳しく感じるかもしれません。でも、ゴールすればかなりの達成感を得られます。トレイルランナーとしてレベルアップを目指すなら、一度は走ってみてください。