マラソンとランニングの違いって?
スロージョギングって、なに?
マラソン・ランニング・ジョギング・スロージョギング・LSD。いずれも走ることをあらわす言葉なのですが、それぞれの違いって分かりますか?
中には、スロージョギング? LSD! ヤバくない… なんて思った人もいるのではないでしょうか。
そこで、ちまたにあふれる情報をまとめて「旅とラン」なりに徹底解説してみようと思います。違いが分かると、走ることが苦手・習慣化できない人の気持ちが楽になるかもしれません。
マラソンとは?
マラソンとは、42.195kmのコースを走り順位やタイムを競う陸上競技のこと。フルマラソンともいいます。
他にも、フルマラソンの半分の距離(21.0975km)を走るハーフマラソンや1/4の距離(10.54875km)のクォーターマラソン。フルマラソン以上の超長距離を走るウルトラマラソンもあります。
マラソンの距離がどうして42.195kmになったのか? そこには、おもしろい逸話があります。
マラソンの起源は、第1回アテネオリンピック(1896年)にまでさかのぼります。ギリシャの故事に由来して約40kmと、あいまいなルールで開催されました。以降のオリンピックにもこのルールが適用されます。
第4回ロンドンオリンピック(1908年)にて、市街地42kmと競技場の1部を足して42.195kmが採用されました。この距離が第8回パリオリンピック(1924年)以降、正式な距離として採用されたのです。
ではなぜ、42.195kmだったのか? そこには、当時のイギリス王妃:アレクサンドラが「スタート地点は宮殿の庭で、ゴール地点は競技場のボックス席の前に」とワガママを言ったのが採用されたとか。
これが本当だとすると、100年以上も前の王妃のワガママに今でも従っていることになります。不思議な気持ちになりますね。
ランニングとは?
ランニングとは、マラソン大会など競技への参加や走力アップを目指して走り込むこと。アスリートもおこなう本格的なトレーニングです。
あらかじめ目標を決めて、それを達成するための練習プログラムを組みます。距離・時間・ペースを段階的に引き上げるなどして、負荷をかけていきます。
走るペースは、息がはずむくらい。心拍数でいうと、最大心拍数の70〜90%くらいを目安にします。
最大心拍数は、計算式:206.9 −(0.67 × 年齢)でおおよその数値がわかります。走っているときの心拍数は、GPSウォッチやスマートウォッチで計測できます。興味がある人は、測ってみましょう。
負荷が高くなるほど、瞬発力をつけるための運動になります。そのため、有酸素運動の効果である持久力アップや脂肪燃焼(ダイエット)効果が得にくくなります。
また、スピードが上がると身体の軸がブレやすくなります。軸がブレると力が分散するため、パフォーマンスも悪くなります。フォームを安定させるためにも、体幹を鍛えるといいでしょう。
ジョギングとは?
ランニングのペースよりもゆっくり走るのがジョギング。運動前後のウォーミングアップやクールダウン、健康目的におこないます。
走る目的や目標はありますが、ランニングのように練習プログラムを組んだり段階的に負荷をあげたりはしません。気軽に、走ることを楽しむイメージです。
走るペースは、人と会話しながらでも走れるくらい。心拍数でいうと、最大心拍数の40〜70%くらいを目安にします。
ペースはゆったりで有酸素効果が高く、持久力アップや脂肪燃焼効果にも期待ができます。ダイエットをするなら、ランニングよりジョギングがオススメ!
また、初心者でも続けやすいのがメリット。走ることがキツくて習慣化できていない人は、ランニングをしているのが原因かもしれません。まずは、5〜10kmを目標にジョギングしてみましょう。
スロージョギングとは?
ジョギングよりも遅く、歩くのと同じくらいのスピードで走るのがスロージョギング。長年の運動不足や筋力が足りなくて、ジョギングすら負担が大きい人でも親しみやすいです。
足への負担が少ないわりに、エネルギー消費量はウォーキングの2倍。ペースも人と会話を楽しみながらでも走れるくらいなので、初心者でもはじめやすく習慣化しやすいです。ジョギング同様、ダイエット効果も!
キツくないのでついつい走りすぎてしまうのは、デメリット。急に走ると故障の原因にもなりかねません。初心者は1日10分くらいからはじめて、じょじょに距離を伸ばしていきましょう。
スロージョギングは、走るフォームを大切にします。多くの人が無意識にやっているかかと着地(ヒールストライク走法)ではなく、足の指の付け根あたりで着地するフォアフット走法で走ります。
フォアフット走法は意識すると難しいので、走る前に両足でぴょんぴょんとジャンプしてみましょう。そのとき、かかとではなくつま先の付け根あたりで着地しているはずです。その感覚で走ってみましょう。
LSDとは?
LSD(Long Slow Distance = ロングスローディスタンス)は、ソウル五輪の女子マラソン代表:浅井えり子さんを育てた佐々木功監督が日本に広めた理論。現在でも多くのランナーに支持されています。
時間をかけて、ゆっくり長い距離を走る。ゆっくり走るという意味ではスロージョギングと似ていますが、健康目的よりもトレーニングを目的におこないます。
一般的に、60分以上ゆっくりペースを維持したまま走り続けるのがポイント。プロランニングコーチ:金哲彦さんのメソッドでは、まず60分走り切る。最終的には90分以上走れるようになることを目指します。
ペースは、会話ができて歩くよりやや早いくらい。心拍数をあげないよう走り続けます。キツさはないですが、ゆっくりペースを維持したまま長い距離を走るのはむずかしいと感じることも。
ゆっくり長い距離を走ることで、有酸素運動の能力が向上します。心肺機能が高まり持久力がアップ。脂肪燃焼効果にも期待できるので、マラソン向きの体質づくりに貢献します。
要約すると…
マラソンは競技ということで、他と明らかに違うのはご理解いただけたのではないでしょうか。じゃあ、残り4種についてはどうか? 「旅とラン」なりに要約してみます。
目的
目的で分けると…
と、なります。
ダイエット効果
ダイエット効果で分けると…
と、なります。
ペースの早い順
ペースの早い順に並べると…
ランニング > ジョギング > LSD ≧ スロージョギング
と、こんな感じ。
初心者でもやりやすい順
運動強度・負荷・時間などを踏まえて、初心者でもやりやすいものから並べると…
スロージョギング > ジョギング > LSD > ランニング
と、なります。
まとめ
もちろんこれが正解ではありません。特に、スロージョギングとLSDの違いがあいまいで、同じと説明するケースもあります。1つの考え方として、参考にしていただけると幸いです。
走ることが苦手・習慣化できない人は、今まで頑張りすぎていたのかもしれません。ペースをグッと落として、ジョギングもしくはスロージョギングからはじめてみましょう。