サンダル履いて走ってる人、みたことある!
ワラーチっていうんだ!
サンダルで走れるの?
メリットあるの?
痛そうだしケガしそう…
写真に写っているサンダルが「ワラーチ」。みたことある人、気になっている人もいるのではないでしょうか。
ワラーチは、メキシコの秘境「コッパーキャニオン」で暮らす「タラウマラ族(通称:ララムリ = 現地語で走る民族)」が愛用するサンダル。名前のルーツに、日本の草鞋(わらじ)が関係しているともいわれています。
走る民族「ララムリ」のワラーチは、古タイヤを切って紐を通しただけの簡素なもの。それでも、実力者が集まるウルトラレースや山岳レースで優勝するなど素晴らしい結果を残しています。
日本でその名が知られるようになったのは、2010年ごろ。ウルトラランナーVSララムリを描いた書籍『BORN TO RUN』の発売がきっかけでした。
これ以降、日本人にも馴染みやすいワラーチの作り方をアウトドアカルチャーの先駆者:木村東吉さんが紹介。一部のランナーを虜にしました。当時は、ゴム板に真田紐を組み合わせたものでしたね。
シンプルな作りがナチュラリストにもうけて、今ではアウトドア誌にも特集が組まれるほど。じわじわとファンを増やし虜にしています。
履いた人を虜にするワラーチの魅力って、一体? 気になる人もいるかと思います。これまでに6足のワラーチをDIYして愛用する私が、ランナー視点でご紹介します。
ランニングサンダル「ワラーチ」の魅力。履いた人を虜にするわけ
裸足感覚で走れるのが最高に気持ちいい
ワラーチは、ゴム板に紐を通しただけのシンプルなサンダルです。写真のもので、厚さ:7mm。そして足を覆うものはなく、ほぼ裸足。これが、最高に気持ちいい。
開放感があってとにかく軽い。スムーズに次の一歩が踏み出せます。そして、指先まで使って走る感覚はランニングシューズを履いてでは味わえません。自分の足でしっかり走ってる。そんな気にさせてくれます。
人間本来がもつランニングフォームになる
ワラーチを履いて走ると「ミッドフット走法」や「フォアフット走法」が自然と身に付くといわれます。これら走り方は、日本人に多いかかと着地とは別もの。人間本来がもつランニングフォームです。
ミッドフット走法とは?
ミッドフット走法は、足裏全体で着地します。かかと着地にくらべて衝撃を分散できるため、脚への負担が軽減しケガの予防になります。着地時にブレーキがかかりにくいため、ロスなく楽に長く走れるようにもなります。
フォアフット走法とは?
フォアフット走法は、つま先から着地します。アフリカの選手に多くみられるフォーム。ミッドフット走法と同様、効率よく走ることができます。筋肉よりも腱(バネ)を利用するため、省エネ走法が可能になります。
ミッドフット走法・フォアフット走法を身につけるために必要なこと
しかし、いずれも日本人が習得するのは難しく無理をするとケガの原因になるともいわれます。それを自然と習得する秘訣が、裸足に近い状態で走ること。
足裏の感覚が直に脚に伝わるため、身体が自然と衝撃を避けるフォームにしようとします。つまり、ワラーチで走ることで自然と「ミッドフット走法」「フォアフット走法」が身に付くわけです。
雨の日やぬかるんだ路面でも快適に走れる
ワラーチを履いて走ると、シューズが濡れて不快な思いをすることがなくなります。水たまりやぬかるんだ路面でも、臆することなく走れます。
シューズが濡れたままだと、足がふやけて血豆や水膨れができるリスクも高くなります。ワラーチの場合、汚れはしますがすぐに乾くので足がふやけるリスクは低いです。
サッと水をかけるだけで綺麗になるので、走った後のケアがとにかく楽。そのまま車に乗り込んだり電車やバスに乗ったりもできます。
とにかくコスパが最強!
ワラーチは、アウトドアメーカーなどから既製品が販売されていますが基本はDIYします。素材と工具を一式そろえて、3,000円もあればできるでしょう。
必要な素材は、イタリアのVibram(ビブラム)社製のゴム板と紐(真田紐、PPバンド、パラコードなど)。それと、作り方によっては紐の連結に治具が必要になります。でも、これだけ。
工具もカッターやハサミ、ハンマーなど家にあるものとダイソーで手に入る穴あけポンチがあればOK。はじめて作る人でも、2時間もあればできるはずです。
ワラーチの作り方を紹介した記事がありますので、よろしければこちらもどうぞ。
他にも、ランニングシューズ以上に寿命が長いのもコスパ最強の理由の1つ。
ランニングシューズの場合、一般的に500〜700kmが買い替えの目安といわれます。ワラーチの場合、1,000km以上走っても平気。私の経験でいえば、1,500kmくらいでようやくゴム板に穴が空きました。
最近のランニングシューズは、数万円するものも珍しくありません。それと比較しなくても、ワラーチがいかにコスパ最強かは一目瞭然です。
DIYすれば、自分だけの1足が手に入る
DIYのメリットについて、もう1つ。既製品とは違い、自分の足型に合わせて作るのでサイズ調整ができます。左右で微妙に違う足のサイズにもフィットするので、自分だけの1足が手に入ります。
また、ゴム板に組み合わせる紐も種類が豊富。蛍光色の派手なものから迷彩柄、ナチュラルカラーなどあって個性を演出できます。紐の結び方や治具でアレンジするなんてことも。
作り方もいくつかあって仕上がりの雰囲気もそれぞれ違います。ネットで探してみると面白いかもしれませんよ。
旅行や出張先に持っていっても荷物にならない
旅行や出張先でも走りたいランナーは多いはず。でも、ランニンングシューズをパッキングするのは荷物になるので実際はできていない… そんな人にこそ、ワラーチをオススメしたいです。
ワラーチは、みてわかるようにとにかく薄い。左右重ねても厚さ:20〜30mm程度。しかも、丸めたり折り曲げたりしても形が崩れない。狭いスペースにもパッキングできてしまうのはかなり魅力的です。
反面、デメリットもある
足裏に感じる衝撃は、やっぱりある
みた目から想像つくかもしれませんが、ゴム板が薄いので衝撃は感じます。小石を踏んでも痛みや違和感を覚えるので、敏感にはなります。
ただし、これも慣れ。走り込んでいくと足裏も強化されて、たとえ砂利道であっても走れるようになります。痛みもさほど感じなくなるので、走り続けることが大切です。
慣れるまで、ふくらはぎがパンパンに張ることも
ワラーチで走ると、ふくらはぎがパンパンに張ることがあります。これは、今までのランニングで使えていなかった筋肉(特に、ヒラメ筋)を使っているため。フォームが矯正されている証拠です。
ふくらはぎは、第2の心臓ともいわれランナーにとっても大切な筋肉。慣れるまで時間はかかりますが、無理せず力を抜いて走り続けましょう。
ケガのリスクはある
ワラーチを履くと、開放感のあまり走りだしたくなる。そんな気持ちになるのもわかりますが、まずは歩くことからはじめましょう。普段のランニングと同じ感覚で走ると、間違いなくケガをします。
着地したときの衝撃がつま先にかかってしまい靭帯損傷もしくは骨折なんてことにも。他にも、擦りキズや障害物にぶつけてケガをするリスクもランニングシューズ以上にあります。
ワラーチランニングのヒントになる動画があります。裸足ランニングのパイオニア:吉野剛さんによるベアフットランニングの練習方法が紹介されています。通じるものがあるので必見です。
日焼け・寒さ対策は必要
昼間に走る場合、顔や腕まわりの日焼け対策はバッチリ。なんて人は多いと思いますが、ワラーチを履いて走る場合は脚にもしっかり対策しましょう。
それと、冬場でもワラーチを履きたい。そんな変態さんは、靴下を履いてワラーチランニングを楽しみましょう。寒さを我慢して走ると、ケガノもと。靭帯損傷のリスクがありますのでご注意を。
まとめ
イロモノ扱いされるワラーチの魅力。少しは伝わりましたでしょうか? 実はケガの予防にもなるという意外な発見もあったと思います。
わたし自身、ワラーチ歴は4年近くになりますが脚を故障した経験はありません。もちろん、小さいケガ(水膨れ、血豆、擦りキズ)はありますが、それはランニングシューズを履いても同じこと。
あと、黒爪(爪下血種 = そうかけっしゅ)にならないので、レースの後半もストレスなく走れます。これは、大きなメリット。おかげで、ワラーチで走ったレース(ハーフ・フル両方)でPBをだしてます。
魅力たっぷりのワラーチ。みなさんも、履いて走ってくださいね!